ステージフォト光影(バレエ・タンゴ・ジャズダンス・フラメンコ・社交ダンス・歌謡)舞台写真撮影 /大阪/京都/兵庫/奈良

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はじめに
ダンスというのは音楽と共に踊っているわけですから動いていて初めて価値があるものです。
写真からは音は流れませんし、もちろん動くはずもありません。
ではダンスの何を撮るべきなのでしょう。それは「今にも動き出すような写真」「まるで音楽が聞こえてきそうな写真」です。
……なんて言うのは簡単ですね。私が出来ているとは言いません。私の目標です。

以下では舞台写真(主にダンス)を一般の方が撮るにあたっての注意点や技術的なことを私の主観を元にQ&A形式で書きたいと思います。※あくまで一般の方を対象とした内容です。

どんなカメラがいい?
これは私の持論ですが必要な機能さえあれば、とにかく軽くて小さくて持ちやすいことです。
必要な機能とは何かと言えば、シャッターを切ると同時に撮影されること(タイムラグのあるカメラは使い物になりません)
連写が可能であること(次のコマを撮るまでに待たされるようでは非常に辛いです)
それなりのズームレンズが使用可能なこと(望遠側が200mm以上は欲しいですね)
デジカメである場合は感度設定でISO1600程度が選択できること(感度については後章に記述)

といったようなことで、通常の一眼レフタイプのカメラなら十分です。あとは軽くて小さくて持ちやすければOK(コンパクトカメラでは期待通りの撮影は困難かと思います)

プロカメラマンの方やカメラ愛好家の方には40万円を超える高級一眼レフカメラをお使いの方も多いと思います。それは信頼性や機能において大いに意味のあることであり、私も必要に応じて、そういったカメラを使いますが、上位機種は大きくて重いので一般の方にはお勧めしません。これは手持ちでファインダを覗いたままで2〜3時間以上ずっと構えていられる重さでないといけないからです。同じ2時間でも披露宴のスナップのように、要所要所をおさえておけばいいというものではなく、ベッタリ2時間ファインダーを覗き、シャッターチャンスを追い続けるのは、想像以上に重労働なことなのです(もちろん腕力に自信のある方は別ですが)

以下の機種などはコンシューマモデルですが、十分な機能を持ち軽くて小さいという条件を満たしている代表的なカメラだと思います(2007年12月現在)

Nikon
D40x
Canon
EOS KissデジタルX




【参考】 プロカメラマンはよくこのようなカメラを使っています。
なんと、上記の機種の2倍以上の重さです。63万円のボディーはさすがに重い。

Nikon
D2X

どんなレンズがいい?
これも私の持論ですが、70mm〜200mm(35mm換算)のズームレンズを1本、あとはいい席に座ること。これでひとますOKだと思います。もちろんできれば28mm〜300mm(35mm換算)といった広範囲をカバーできるレンズなら言うことはありません。それと明るいにこしたことはありませんが、カメラ選びと同様にとにかく軽くて小さいことは重要です。
高い画質を追求すれば単焦点レンズ(それも大口径のもの)に軍配が上がるのは間違いないと思いますが、単焦点レンズの場合だと3〜4本は用意しないと舞台全景からアップまでをカバーできません。また頻繁にレンズ交換をすることになり撮りたいシャッターチャンスを逃がしてしまいます。私の考えではとにかく画質よりも機動性です。いい写真が撮れなければ綺麗な写真が出来ても意味がありませんからね。また、プロカメラマンになると大口径のズームレンズを使う場合も多いですが、20万円を超えますし一般の方向けには現実的ではない重さです。

以下の機種はレンズ専門メーカーのレンズですが、十分な機能を持ち軽くて小さいという条件を満たしている代表的なレンズだと思います(2006年4月現在)

SIGMA
18-200mm F3.5-6.3 DC
TAMRON
AF18-200mm F3.5-6.3 Di II




【参考】 プロカメラマンはよくこのようなレンズを使っています。
なんと、上記のレンズの4倍近い重さです。これはちょっとした鉄アレイですね。

Nikon
VR Zoom Nikkor ED 70-200mm F2.8G

手ブレはどうすればいい?
舞台写真でもっとも困るのは照明が暗くて絶対的な光量が足らないためシャッター速度が遅くなり画像がブレてしまうことです。舞台の照明が暗い?と思う方も多いでしょうが、実は想像以上に暗いのです。

ブレには手ブレと被写体ブレがあり、手ブレはカメラ側のブレ、被写体ブレは撮られている人が動くために起こるブレです。
被写体ブレはそのシーンによっては、写真に動きが出て効果的である場合もありますが、手ブレは画像全体がブレてしまうので写真としては使えないものになります。

手ぶれを起こさない方法としては下記のような作戦があるでしょう
  1. レンズのF値を小さくしシャッター速度を上げる
  2. 焦点距離の短いレンズを使い被写体にできるだけ近づく
  3. 三脚を使ってカメラを固定する
  4. ストロボを使って光量を得る
  5. ISO感度を上げてシャッター速度を上げる

1.レンズのF値を小さくしシャッター速度を上げる
要するに明るいレンズを使うということで、これができればもっともよい方法でありますがF値を小さくするといっても限界があり、普通のズームレンズはF4〜F5.6程度にしかなりません。それをもっと小さくしたいというのですからF2.8以下が設定できる大口径レンズが必要となり、そのようなレンズは非常に高価で、かつ大きく重たいです。
プロが仕事で撮影するような場合、多少高価でも、大きく重たくても、それが必要な側面もあり、やむ終えないとしても、一般の方にはお勧めしません。シャッターチャンスこそが命の舞台写真で、機動性のない重たいレンズを振り回して2時間のコンサートを手持ちで撮影するのはあまり現実的ではないからです。

2.焦点距離の短いレンズを使い被写体にできるだけ近づく
可能であれば、よい方法です。望遠になればなるほど激しく手ぶれを起こしますので、焦点距離の短いレンズ、すなわち広角レンズや標準レンズで撮れば、多少の手ブレも目立ちはしません。しかし、全景しかとらないのなら別ですが、アップを撮るためには被写体に2メートルぐらいまで近づかないといけません。これは舞台写真ではあまり現実的な方法ではないでしょう。

3.三脚を使ってカメラを固定する
丈夫な三脚を使えば、シャッター速度が遅くても、確かに手ブレはしません(手で持ってないのですから当然です)しかし、被写体が動くことによって起こる被写体ブレは起こります。それに、三脚に固定しているわけですから、著しく機動性が損なわれますので、できれば使いたくありません。
しかしながら、上記したようなの大口径レンズを使うとか、舞台の最後方からの撮影で、大きく重たい400mm以上の超望遠レンズを使わなければならない撮影環境であるならば、これはやむ終えません、三脚を使いましょう。

4.ストロボを使って光量を得る
はっきり言って言語道断です。よく、一般客の方が舞台を撮るのにストロボを使っているのを見ますが、まずストロボ撮影を許可している舞台はほとんどないはずです。それは舞台演出上の妨げ以外の何者でもないからです。仮に許可していたとしても、カメラに内蔵しているような小さなストロボでは被写体まで届きませんし、もし届いても今度は照明効果が写真に写らなくなるので殺風景な写真が出来上がります。特別な理由がない限り舞台のストロボ撮影はやめましょう。

5.ISO感度を上げてシャッター速度を上げる
フィルムカメラなら、高感度のフィルムを買えば済み、デジカメでも設定を高感度にするだけでできる、一番お手軽な方法で、かつ効果的です。
ただし、フィルムでもデジタルでも同様に画像の粒子が粗くなり画質が荒れるという現象が起こります。
一般にISO400程度までなら画質的に大きな問題はありませんが、それ以上になると確かに粒子の荒れが目立つようになります。
デジタルの場合は機種によっても異なりますが、画質に拘るならISO800ぐらいが限度かもしれません。ですが、2L版程度にしかプリントしないのであれば、ISO1600まで上げても、まず問題ないと思います。ブレないことの方が重要です。

結論としては「許容範囲内であれば画像の荒れには目をつぶりISO感度を上げる」これが機動性を損なわずに手ブレを防ぐ唯一の方法です。
ただ、舞台写真の場合、ISO1600まで感度を上げてもシャッター速度が30分の1以下になることがめずらしくありませんので、素人さんには難しい環境であることには違いはありません。


色温度って何ですか?
写真の色を語る上で知っておかなければならない知識のひとつに色温度があります。
色温度とは、光の色を表すのに使用される値のことで蛍光灯や白熱灯などの照明、銀塩カメラ、デジタルカメラ、ディスプレイなどさまざまな機器において、光の色の基準として使用されています。

色温度といっても色が熱かったり冷たかったりするわけではありません。焼けた鉄が赤いように、物質は熱くなると光を放ちます。そこで、黒体(光を反射しない物質)が高温になった時に放つ光の色を、その時の温度で表現したもが色温度です。黒体の温度が高くなるにつれて、光の色は 赤→白→青 と変化していきます。
色温度の単位には「 K(ケルビン)」を用います。例えば、色温度で5500Kといえば、黒体を絶対温度5500度に熱したときに発する光の色ということになります。

昼間の太陽光がおよそ5500K前後ですので、一般に色を評価する場合などの基準になります。
通常、銀塩カメラのカラーフィルムも5500Kを基準に作られています。日陰で撮影すると青みがかっているのは日陰の光は色温度が5500Kより高いためです。また、ストロボ光での撮影が美しいのはストロボの光の色温度は5500Kであるからです。

デジカメで撮影した画像はパソコンで色調整することができますが、パソコンのモニタにも色温度があります。これは、モニタに表示される色に大きな影響を与えますので、色を確認するためには調整が必要です。

多くの場合、モニタには、5000K、6500K、9300Kと3種類の色温度の設定があります(高機能な機種では無段階で調節可能なものもありますし、液晶モニタなどでは調整できないものもあります)それぞれ、どのように見え方が違うかというと

5000K 6500K 9300K

となります(この画像が正しい色温度になっているわけではありません。この程度の差違があるということです)

多くのモニタは出荷時に色温度9300Kに設定されています。色の基準は5500Kですから、これは相当に青い状態なのです(テレビの色温度が9300Kであることや、青い方がパッと見がよいことなどでそう設定されているようです)
※テレビの色温度は規格では6774Kに定められているようですが実際は9000Kを超えています。

モニタで見ていた色よりプリントすると赤かったという経験はありませんか? 特にデジカメ写真をお店プリントに出すと十中八九そうなります。それはプリントが赤いのではなくモニタが青いからなのです。

本当は5500Kの光の元で撮影した画像を5500Kのモニタで確認調整し、プリントした写真も5500Kの照明の下で見る。これではじめて、正しく色を見たことになります。
とはいえスタジオ撮影した商品写真をオフセット印刷するような色のプロの現場を除けば、なかなか、そうはいきません。

また、写真業界での基準は5500Kですが、色彩工学という分野での現在の事実上の標準は6500Kとのことですので、色温度については5500Kだけが正しいというわけではありません。

パソコンをお使いの方は調整可能なモニタであれば色温度を5500K〜6500Kにするのが望ましいと思います(どちらにしても9300Kのままでは色は語れませんので)


いろんな光源のおよその色温度

テレビ 9300K
モニタ(初期値) 9300K
蛍光灯(昼光色) 6700K
標準太陽光 5500K
蛍光灯(昼白色) 5000K
蛍光灯(白色) 4200K
蛍光灯(温白色) 3500K
ハロゲン電球 3500K
蛍光灯(電球色) 3000K
一般電球 2700K
ローソク 2000K

色調整は必要?
舞台写真の場合、デジカメ撮影の撮影後の色調整は不可欠です。

写真店プリントする場合、フィルムであればプリントの際に色調整をしてくれます(ほとんど機械が勝手にやるので納得できる色になるかどうかは疑問ですが)しかし、デジカメプリントの場合は、まともに色調整されることはありません(適切に色調整しますと謡っている店もありますが、まず期待できません)

舞台の照明の基本光の色温度は非常に低い(すなわち赤い)です。肉眼で見ている分には、その赤さをあまり感じませんが、実際にはそうなのです。そしてスポットライトの色温度は高く青いのです。そういった色温度の違う光が混在している中、ダンスコンサートなどでは、多種の色フィルタで 青、緑、ピンク、オレンジ etc... の光を表現しています。

舞台の照明は、当然、その場で生で見ている人間の目に合わせていますので、写真を撮影する照明としては相当に厳しい環境です。デジカメにはホワイトバランスを自動調整する機能がありますが、舞台のような特殊な環境ではあまり役に立ちません。プロの場合はリハーサルを見た上で、シーンごとに手動でホワイトバランスを変えるという、凄い技を使うこともありますが、一般の方にはまず無理ですので、撮影時にできることは、そう多くありません。

以上のことからカラーバランスの整ったプリントを作るためには、どうしてもパソコンによる後処理(色相、濃度、コントラストなどの調整)が必要となります。
パソコンで柔軟に色調整ができるレタッチソフトとしては Adobe Photoshop CS が有名ですが、廉価版の Adobe Photoshop Elements でも十分に使えます。色に少しでも拘りがあるのであれば、モニタの調整とレタッチソフトは最低限必要であると思います

RAWデータって何?
RAW、読み方は「ロウ」です。単語の意味としては「生の」「未処理の」といった感じです。

簡単にデジカメの仕組みを言いますと、レンズから入った光の像がイメージセンサー(CCDやCMOS)にあたり、そこでデジタルデータに変換されます。そして画像エンジンがそのデジタルデータを通常の画像ファイル(JEPGやTIFF)に変換処理してメモリメディアに保存します。

銀塩カメラ(フィルムのカメラ)と比較しますと、イメージセンサーがフィルムに相当するもので画像エンジンはフィルム現像といったイメージです。デジカメはフィルム現像までカメラ内で行っているのですね。従って、この画像エンジンでの処理を「現像」といいます。

RAWデータとはこのイメージセンサーから出たデジタルデータのことで、未現像の画像(未現像ですからまだ画像になっていませんが)のことです。
RAWデータも光の像をデジタルデータとしたものですから画像じゃないの? と思われるかもしれませんが、画像として整理されたデータではありませんので、そのままでは画像として使えないのです。それを使える画像データに処理するのが画像エンジンで、画像エンジンの善し悪しで、最終的な画像の品質は大きく変わります。

色が重要な意味を持つ職種のプロカメラマンや色に拘りのあるカメラ愛好家の方にはRAWで撮影される方も多いと思います。RAWでの撮影とは、デジカメ内蔵の画像エンジンで現像していないRAWデータを直接保存して取り出すことです。
RAWでの撮影は多くのデジタル一眼レフカメラや一部のコンパクトデジタルカメラで可能です。

RAWデータはもちろんそのままでは画像として使えませんが、パソコンの現像ソフトにより自分で現像するのです。カメラ任せではなく、自分で、各種の調整をしながら現像できるため、ホワイトバランスの調整やシャープネスの調整などが柔軟に行えます。
また、RAWデータから画像データに変換する場合、画像エンジンが不要と判断した情報は捨てられデータは間引かれます。一度捨てられ欠落した情報は後で復元することはできません。
RAWデータにはイメージセンサーから出力されたすべてのデータが残っています。適切に自分で現像することができれば、もっとも高品質な画像を作ることが可能だと思います。

最近のデジカメの画像エンジンは非常に優秀ですので、わざわざRAWで撮って、手間暇かけて自分で現像しなくても……という考え方もあると思いますが、一枚に拘った作品を作る場合などは、その手間暇こそが有意義な時間であるとも言えます。

普通のスナップ写真をRAWで撮るのはバカげていると思いますが、RAWは非常に大きな可能性を持っていますので必要に応じて使うのは良い選択肢だと思います。

ちなみに舞台写真は非常に悪条件での撮影ですので、RAWで撮影する意味が大いにあります。
ただ、RAWは保存容量が大きいので、メモリメディアに入る枚数が少なくなり、大量撮影には不向きです。デジカメによっては連続撮影できない場合もありますし、大量にRAWを現像するのも大変な作業です。
舞台写真でも、美術印刷にするとかポスターを作るなどの用途であればRAWで撮影し、拘って作るのもよいと思いますが、そうでなければ、通常のJPEG撮影+レタッチソフト処理で問題ないように私は思います。

シャッターチャンスが難しい?
シャッターチャンスとは、ほんの一瞬のものです。スポーツ写真でバッターが打った瞬間や、赤ちゃんを撮影する時の驚いた顔の瞬間など、それは時間との戦いです。

多くのダンスには手を挙げた瞬間や足を上げた瞬間などに決めポーズのような一瞬があります。これがシャッターチャンスになりますが、おそらくそれは0.1秒ほどしかありません。
人間は目から入った情報を元に脳が「今だ!」と判断してから実際に動けるまで、すなわちシャッターが切れるまで0.3秒かかると言われています。

0.1秒しかない瞬間を見てからその0.3秒後に撮っても、まったく手遅れなのです。
シャッターチャンスが来る0.3秒前にシャッターを切ろうと脳が思わないとその瞬間は撮れません。これは相当に「慣れ」を必要とします。

幸いなことにダンスは曲と共に動いていますので、リズムを読み、動き方やそれまでの振りの流れから「次のカウントで足を上げるかな」と予想しながら撮影することができます。
ほかにも「回ったんだから次は止まって決めるかな」とか「かがんだのなら立って決めるだろう」とか、いろいろ見るところはあります。
また、頭で考えているだけでは、なかなか0.1秒のシャッターチャンスを掴めませんので、自分も心の中で踊っているつもりで撮影するのがよいのかもしれません。
とはいえ、そうそう、思い通りにはならないのですけどね。(^^;)

最後に
いろいろと書きましたが、総論としては下記のようになるかと思います。

1.自分にあった大きさ重さの一眼レフカメラを使う(コンパクトカメラでは辛いです)
2.望遠側が200mm程度はあるズームレンズを使う(広角側までカバーしているとさらに良い)
3.撮影に適した席に座る(客席の広さにもよりますが、概ね、中央ぐらいの席が良い)
4.ストロボは絶対にダメ!非常識です。
5.ISO感度は1600程度に設定する。
6.パソコンのモニタの色温度調整は必ずする。
7.レタッチソフトは必要(Adobe Photoshop など)


ステージフォト「光影」
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